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2001年04月11日
「ダンサーインザダーク」と「バトルロワイアル」
ここのところ、なんとなく「映画週間」になっています。今日は、「バトルロワイアル特別篇」を見てきたし、先週は「ダンサーインザダーク」を見てきました。両方とも水曜日。何故かというと女性サービスデーで1000円で見られるから。
映画鑑賞はあんまり自分から進んでは行きません。何かきっかけがあったり、人から誘われたりしたら行くかな、という感じ。だから、この前に見た映画は1年半前の「シックスセンス」だったし、そのまえは…「もののけ姫」と「アポロ13」ってどっちが先だったけかな。いずれにしても数年前の話。ここしばらく映画は年に1回見れば多い方でした。
んじゃ、なんで立て続けに2本見てるかというと、先に友人に誘われて一緒に行こうとして、結局すっぽかされて一人で見た「ダンサーインザダーク」の印象が強すぎて、それをなんとか薄めるために「バトルロワイアル特別篇」を見た、という感じ。
というわけで、両作品の感想を書きます。両方とも今年の正月に封切りになっている映画なので大丈夫だと思いますが、ネタバレを含むのでまだ見ていない人は注意!です。
【ダンサーインザダーク】
前評判は少し聞いていました。「感動の嵐」とか「ミュージカルシーンは必見!」とか。でも、ストーリーについてはあえて何も前情報を入れずに見たのです。だから単なるミュージカルムービーかと思っていたら見事に裏切られました。一言で言うと、「非常に後味の悪い話」です。ヒロインがどんどん不幸になっていく話。
こういう場合、泣けるか否か、あるいは感動するか否かは私の場合ヒロインにどれだけ感情移入出来るかどうかで決まりますが、全然感情移入出来ませんでした。ヒロインを襲う不幸が逃れようと思えば可能だったかもしれないこと、自分だったら絶対にこういう選択はすまい、という方をヒロインがひたすら突き進んでいっていたためかもしれません。それと、なんだかストーリー展開の為だけにわざわざヒロインにしなくてもいい不幸をしょわせているようにも見えてそれもなんだか腹が立ちました。ただただ坂を転がり落ちるように不幸になっていくヒロインを見ていると、気持ちが悪くなってきてしまいました。ストーリー展開のせいか、と思っていたら、どうやらカメラアングルのせいらしく途中で席を立つ人続出。最後列に座っていてさえぐるぐるしてきたので、前列の人はもっと辛かったかも。
例えば、ヒロインは一人息子の為にとある選択を迫られます。それは「自分の死」か「息子の失明」かという問題。ここのあたりもストーリーの説明不足の部分があって、両方の選択から免れられる第三の選択肢があったように思えてなりません。ここで彼女は前者を選択しますが、残された息子の哀しみ、彼の背負わされた運命の重さ、彼が今後一人で生きていかねばならないこと、を考えると本当にそれでよかったのか、考えさせられてしまいます。ましてやその選択をする前、自分の死の恐怖にものすごくおびえていて生に執着しており、その選択をする直前には一瞬救済がされたかのようにみえて生への歓喜を爆発させていたヒロインなのに。…このあたりは観ている私自身が母親になったことがないからそう思うわけで、自分が母親だったらこの辺りの心境がどう変わるかみてみたいものです。しばらくその予定はありませんが(笑)。
ストーリーについていろいろ書いてしまいましたが(あ、けなしているつもりはないのです。ただ、もう少しストーリーに説得力があればなあ)、ミュージカルシーンに流れるヒロイン(=ビョーク)の歌声は鳥肌が立つほどに圧倒的で素敵です。
でもさ、私、ミュージカルはやっぱりハッピーエンドがいいわけで、しかも劇中劇で「サウンド・オブ・ミュージック」が流れたりすると、「サウンド・オブ・ミュージック」のラストが自然に思い出されて余計にそう思ってしまいました。
もちろん、「ウエストサイドストーリー」とか「屋根の上のバイオリン弾き」とかハッピーエンドではないミュージカルもいっぱいあるけれど、なんだかこの映画の監督は従来のいわゆる「ミュージカル映画」が嫌い、とはいわないまでも一石を投じたくてこの映画をつくったのかなとぼんやり思いました。だからいわゆるオーソドックスな「ミュージカル」が好きな私には合わなかったわけで。
それと、芸能のニュースでヒロインの「セルマ」を演じた歌姫ビョークは今後は音楽活動に専念したい為、映画初主演(?)の本作をもって、役者はもうやらないと宣言したとかしないとか言っていて、コメンテーターは「非常にもったいないですね」とか言っていたような気がしたけど、私はその方がいいと思いました。彼女にとっての今回の役は印象が強すぎて、しかもいわゆるハリウッド女優さんみたいに役柄に合わせて髪型や髪の色や性格までを変えてしまえるような器用な人だとも思えなかったから。
…と、いうわけで、「ダンサーインザダーク」を観て感じてしまった、やるせない重い思いがずーっとぐるぐるしていたので、なんとかするために翌週「バトルロワイアル特別篇」を見に行ってしまいました。ちょっと選択が微妙に変です。(うん、今日は長文だ)
【バトルロワイアル特別篇】
こちらについては一応ストーリーについての前知識はちゃんとありました。中学3年の1クラスが最後の一人になるまで殺し合いをする話で、国会議員さん達の間でもめて「R15指定」になった話。そんだけ前評判で盛り上がると、「一体どんだけすごい描写がされているのか」とか期待もしてしまうわけで。
んで、その点に関しては完全に期待外れでした。なんだ、設定がちょっと異色なだけの青春映画じゃん。確かに人はいっぱい死んでいって、しかも画面に「あと○○人」とか出たりしてゲーム感覚が増幅されていて、しかもちょっと殺人描写グロかったりするから、拒否反応を起こしてしまう人もいると思いますが、私は「極限状況におかれた中学生達がどうやって行きぬこうとするか」っていうのがテーマだと思いました。「R15」とかじゃなくて「高校生以下は保護者同伴で」とかにすればよかったのに。現代の中学生がこの映画を親と一緒に観てどんなことを親子で話したかが重要だったかもしれないのに。「R15」指定であれだけ騒がれて、結局宣伝になっただけで、今時の中高生は(私達の時もそうだったけど)、禁止されればされるほど見てみたくなるんじゃないかなあ。
話としては良く出来た話だと思いました。ただ、こちらもストーリー的にちょっと甘くて、大体誰が最後まで先に生き残るのかが最初でわかっちゃうとか(主人公は死なずの法則!)、そもそもの物語のきっかけとなるBR法(バトルロワイヤル法)を導入して日本にどんな国益があるのかとか、クラスの中にどう見ても中学3年生に見えないやつが 何人もいるとか、かなりアニメの「エヴァンゲリオン」を意識して作っているなとか(これで主人公が「逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ…」とか言い出したらどうしようと思った)、いろいろ見ていてつっこみたくなる部分は多々あったのですが、画面から伝わってくる迫力に圧倒されました。あ、映画を見ての後味はこちらの方が良かったです。最後に救いもあったし、未来を感じさせる終わりかたでした。
もし、自分が中学3年生の時にこの話の設定に巻き込まれていたらどうしていただろうか、と考えました。多分最初に「人を殺すくらいなら」とか「どうせ最後まで生き延びれる自信はないし」とか考えて自殺を思い付くと思います。ただ、実行に踏み切る度胸がないので、そのままうだうだと逃げまくって、体格、運動能力共にに自信がなかったこともあって(当時、クラスで一番チビだったし)、「誰もが自分を殺そうとしている」と疑心暗鬼になって、誰かを殺そうとするけど返り討ちにあってしまうくらい…かなあ。
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