ウズベキスタン紀行(2004年9月)

スザニ!スザニ!

スザニ(「スザンニ」ともいう)とは「糸で刺繍をすること」を意味し、刺繍を施したウズベキスタン伝統の布のことです。17世紀の頃から中央アジアの遊牧民が家の装飾品として作ってきました。ウズベキスタンはその発祥の地とされています。(以上、ツアーでもらったウズベキスタンの説明資料より)

ということで、緻密なのに素朴で、しかもどこか洗練されつくされていない愛らしさが感じられるウズベキスタンの名産品がスザニです。最初のページにも書きましたが、以前NHKの番組で紹介されていたのを見て、一目で欲しくなりました。もちろんお土産として手に入れてきましたが、めまいがするほど色々と目移りしました。そんな各地で見かけた色とりどりのスザニを紹介します。

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サマルカンドのメドレセ(寺院)の中ではためくスザニ、売り物です。ウズベキスタンではたとえ世界遺産の文化財であろうと、中にお土産屋さんがあり(出店の権利を売買しているらしい)、建築にボーっと見とれていると、いつの間にかみやげ物売りの人たちに囲まれていることがよくありました。
野ざらし状態にされていますが、色柄がはっきりしていて、ぱっと目を引きます。

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んで、お土産屋さんに一歩足を踏み入れるとこんな感じ(ちょっとこのお店はごちゃごちゃしすぎていましたが)。
一つ一つ、色、模様、素材、サイズの違うスザニが山と積まれていて目移りします。これが一部ミシンのものもありますが、ほとんど手刺繍だというのが驚きです。

この中から気に入ったものを選び出したら、当然のごとく値札などついていないので、値段交渉の開始。はっきり言ってお店のおばさんとのバトルです。
「Say your last price!!!」と迫るおばさんの迫力についつい負けがちでした。

その前に、「もう見るだけでお腹いっぱい」状態になってしまって買えなかったことも…。

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陶芸工房(動物のページに載っているロバの土人形を作った場所です)を営んでいる、一般の家庭にお邪魔したときに目を引いたスザニです。
白い壁にスザニが飾ってあるとぱーっと目を引きます。こうやって生活に密着しているものは上で見たような観光客向けのものとまた一味違うなあと思いました。

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首都のタシケントの工芸博物館(写真撮影OKでした)に展示されていた、オールドスザニ。
もはや美術品、芸術品の域に達しています。テレビで紹介されていた「ヨーロッパのマニアの間で高額で取引されているスザニ」とはこういうものなんだなあ、とただただため息。
さすがにお土産屋さんで売っている、「素朴な、手作りの味がある、どこかいびつなスザニ」とは違います。

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同じく、工芸博物館に展示されていた100年くらい前のオールドスザニ。大きさは1.5m×2mくらい。そんな大きさなのに一面の刺繍なのです。拡大したのが右の写真。本当に縫い目の細かさにうっとりします。これが一部じゃなくて、一面に刺繍してあるのです。一枚作るのに一体どのくらいかかったのか、想像も出来ないほどの細かさです。
スザニの模様は各地方ごとに異なり、また各家庭に伝わる図柄なんかもあるそうです。

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と、まあこれだけの文化財的な価値のあるスザニを紹介した後でナンですが、私がウズベキスタンで手に入れたスザニの紹介です。
写真を撮ったのは旅先のホテルの部屋。ベッドの上に戦利品のスザニを広げてほくほくしながら撮影しました。

一番の大物はブルーの花柄のスザニ。ベッドカバーよりやや小さいサイズ(1.2m×1.6mくらい)で、模様が途中で途切れていたり、布に鉛筆で図案を書き込んだ跡があったりするカワイイやつです。他に色とりどりのやつとかあったんですけど、やはり「ウズベキスタンといえばブルー」というのが頭にあって、ブルーのを選んでしまいました。

他のはクッションカバーではなく、壁掛け用の1枚布のサイズです。サイズは大体40cm角くらい。
真ん中の赤で縁取りのあるスザニは刺繍が非常に細かくて、なんとなく上で紹介した博物館物のスザニを彷彿とさせる一品でした。
値段は、観光地のお土産屋さんで時間に迫られて買ったので、多分、きっとボラれているなとは思います。でも、ウズベキスタンまで行って、たくさんの中から自分の目と手で選んできたたった1枚の布たちなのでどれもすごく気に入っています。