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2007年の感想文

2007年に観たお芝居の一覧です。
独断と偏見でコメントと適当に☆をつけてみました(ちなみに満点は☆5つ)。

1月
劇団名(劇場) 劇団☆新感線(新橋演舞場)
タイトル 朧の森に棲む鬼
派手度 ☆☆☆☆☆
ひとこと 主人公の「ライ」は「Lie」なのね、うんうん。…と観てる途中で納得してしまいました。主役の染五郎さんはもちろんだけど、キンタ役の阿部サダヲさんがバカで大変によかった。主人公と絡む3人の女性もそれぞれ素敵でした。水を使った演出も格好よかったです。
だがしかし、どうしてこの話、「古代日本をほうふつとさせる架空の国」が舞台なんだろう、と例えば「アテルイ」と比較してとつらつら考えてしまいました(古代日本の話が好きなもので)。思い当たったのが古代日本では「王を殺して自分が王になること」と「女性が剣を持って戦うこと」がストーリーとして成立しないから、かな。あとは「時代考証が間違っとる!」というツッコミをさけるため??

1月
劇団名(劇場) 青山円形劇場
タイトル えっとおいらはだれだっけ
どたばた度 ☆☆☆☆
ひとこと えっと岡田達也さんあて書き? …と思ってしまいました。ウソがウソを呼んで周りの人を巻き込んで大騒ぎになってしまう、という翻訳物に良くある設定なのですが、登場人物がみな弾けていたので、面白かったです。特に「ミスター・ジェンキンス」氏が非常に美味しい役回りでした。

3月
劇団名(劇場) Studio Life(シアターサンモール)
タイトル Daisy Pulls it off
古き良きイギリスの寄宿舎度 ☆☆☆
ひとこと 題材がイギリスの女子寄宿舎ものという、昔エニド・ブライトンの「おちゃめなふたご」という児童文学が好きだった私にとって非常にピンポイントだったので、「怖いもの観たさ」で初めて観にいきました、Studio Life。
最初はどうしようかと思いましたが、観始めてしばらくたつと、みんなきちんと「女の子」に見えてくるから不思議です。とくにトリクシーがテンション高めでかなり可愛かったです(注:Studio Lifeの劇団員は全員男性)。
新入生いじめ、真夜中のパーティ、ホッケーの試合と寄宿舎もののツボをしっかり押さえたお話で楽しめました。上演時間が3時間弱と長くてびっくりしたけれど、長さを感じさせませんでした。
にしても主人公のデイジーがマルチすぎて、まるでハリーポッターのようでした(笑)。

3月
劇団名(劇場) TEAM NACS(天王洲銀河劇場)
タイトル HONOR~守り続けた痛みとともに
ノスタルジック度 ☆☆☆☆
ひとこと TEAM NACS、生で観るのは初めてでした。お話としては「奇をてらわない話の創り方をするなあ」と思いました。なので、物語のクライマックスに向けて感動が途切れることなく、すんなりと感情移入ができした。男5人のお芝居なのでやっぱり「熱い!」ですね。熱が伝わってきました。物語のキーパーソンである安田さんがいい味出していたなあと思いました。私個人としてはいわゆる「ふるさと」というものを持たない人間なので、劇中の登場人物たちや役者さん達の「故郷」によせる想いがうらやましかったり、でもしがらみがなくてよかったと思い直してみたり。(私としてのふるさと観はNHKの朝ドラ「ちりとてちん」の糸子さんの「ふるさとは自分で創っていくものなんや」が良いなあ)

3月
劇団名(劇場) シス・カンパニー(シアターコクーン)
タイトル 写楽考
キムラ緑子さんは芝居のたびに別人度 ☆☆☆☆
ひとこと 堤真一さんが出るというのでもっと派手派手しいお芝居(それは新感線)を予想していたのですが、思いのほか落ち着いた「大人のお芝居」でした。役者さんが皆芸達者だったのでそれぞれの方の長台詞も聴き応えがありました。物語の途中で10年の歳月が経過するのですが、その中で若干勇助が説得力に欠けると思えてしまったのがちょっと残念でした。

3月
劇団名(劇場) 演劇集団キャラメルボックス(シアターアプル)
タイトル サボテンの花
にぎやか度 ☆☆☆☆
ひとこと 以前に外部公演として上演したものを音楽劇として、再上映していました。子供達の「手に負えない感じ」は以前の子役を使ったミュージカルの方があったかな。劇中に歌が入ってしまうと一部落ち着かない感じがありますが(ミュージカルではないしね)、みんなで楽器を演奏する楽しい感じは良かったです。

4月
劇団名(劇場) TEAM発砲B-ZIN(本多劇場)
タイトル ジューゴ
Last Shooting度 ☆☆☆
ひとこと なんと解散公演!ここ数年来公演を見に行っていたので、寂しい限りです。最後の公演で最前列が取れてしまったので、アクションなど堪能できました。なんとなくだけど、「ナムコワンダーエッグ」や「キューザー」を髣髴とさせる世界で、登場人物が皆、個性豊かなキャラクターたちで面白かったです。もったいないなあ、もっと見たいなあ。

4月
劇団名(劇場) 演劇集団キャラメルボックス(サンシャイン劇場)
タイトル まつさをな
新作なのにデジャヴ度 ☆☆☆☆☆
ひとこと キャラメルの新作時代劇、しかも温井摩耶主演、さらに女優が殺陣します、とのことでかなり期待して観にいって、そのあたりのお膳立てはきちんとしていて面白かったんだけど、面白かったんだけど…。筋立てというか主人公が親友に裏切られる理由がTRUTHにそっくりでがっかり。他の味付けは出来なかったのかなあ。もったいないなあ。あとはキャラメルの時代劇だと皆「前に過去の芝居で見たことのあるキャラクター」になってしまうのが残念。あ、でも筒井君は老け役頑張ってました。

5月
劇団名(劇場) ザムザ阿佐谷
タイトル となり町戦争
この手の設定は流行ってるんですか度 ☆☆☆☆
ひとこと キャラメルの女優の青山さんが、「キャラメルでは絶対に演らない(演れない?)であろう役柄をとても印象的に演じていました。彼女の「硬質な美しさ」が非常によく現れたお芝居でした。
ザムザ阿佐谷は初めてでしたが、最前列にうっかり座ってしまったため役者さんが近くてドキドキしました。そしてラブシーンにもドキドキしました(笑)。
劇中に台詞の無いダンサーが出てきて物語を進めて行くのですが、最初いる意味がわからなかったのですが、途中の恋人達の回想のシーンでやられたって思いました。

5月
劇団名(劇場) 日生劇場
タイトル 何日君再来
筧さんが熱い!度 ☆☆☆☆☆
ひとこと テレサ・テンは実は台湾の秘密兵器だった、というお芝居。中国と台湾の対立、という自分が知っている(記憶として)時代が背景としてあるとどうも生々しすぎて困惑します。にしても筧さんの存在感と長台詞は素晴らしかった。辻ちゃんはこんな見せ場の多い重要な役(しかも日生劇場)を降板しちゃいけませんなあ。代役の石川さんは頑張ってました。というか可愛かった。

6月
劇団名(劇場) LEMON LIVE (下北沢駅前劇場)
タイトル WOMAN
「Lemonの勇気」度 ☆☆☆☆
ひとこと 舞台が「オカマバーに集うサラリーマン&オカマバーのマダム」パートと「温泉旅館に集合したオカン達VS女将+女中」パートに分かれてましたが、私が好きだったのは「温泉旅館」パート。ああ、こんなオバちゃんたちどこかにいそうだなあ、というドタバタ騒ぎが面白かったです。でも、オバちゃんたちの息子を思う気持ちにはほろり、とさせられました。

6月
劇団名(劇場) ル・テアトル銀座
タイトル 宝塚BOYS
2度目の青春度 ☆☆☆☆☆
ひとこと 戦後間もない頃、宝塚歌劇に男子部が設立されて…というお話。柳家花緑さんとナックスのシゲちゃんを目当てに観にいきました。戦争で青春時代を費やしてしまった人たちの第2の青春を色々な畑の役者さんたちが熱く演じていました。皆さん、それぞれに得意分野が炸裂していて楽しかった。ラスト間際のレビューがキレイだった。そして、その前の照明が。とても完成度の高いお芝居でした。そして色々な畑の役者さんたちのファンへのサービスもばっちりでした(笑)。花緑さんの役作りは「明烏」の若旦那、かな?

6月
劇団名(劇場) ヨーロッパ企画(シアタートップス)
タイトル 衛星都市へのサウダージ
力が抜けてます度 ☆☆☆☆
ひとこと 衛星アルカディアに向う宇宙船に乗り合わせた人たちの人間模様というお話でした。役者さんたちは皆テンションが高く、笑わせどころもたっぷりで、要所要所に使用されている映像が印象的でした。

7月
劇団名(劇場) 新国立劇場小劇場
タイトル 歌の翼にキミを乗せ
元の設定のままでも良かったのに…度 ☆☆☆☆
ひとこと 「シラノ・ド・ベルジュラック」を戦時下のサイパンを舞台に改訂したこの作品、シラノ=西村雅彦さん、ロクサーヌ=観月ありささん、そしてクリスチン=安田顕さん、という配役でした。安田さんが馬鹿でまっすぐでイイ役でした。軍人の設定なので、髪の毛を黒く短髪にしていて新鮮でした。「どうでしょう」を見ている人向けのファンサービス(?)と思われるシーンもあり。途中コメディっぽい部分もあって楽しめました。
でも、やっぱり物語を引っ張っていたのは主人公の西村雅彦でした。実は舞台で観るのは初めてだったんですが、物語の中盤からクライマックスにかけてひたすらにヒロインを想い続ける愚直な男性を熱演していて、TVで見る西村さん(=「古畑任三郎」の今泉さんのイメージ)とは全然違いました。
ただなあ、物語の舞台が第二次世界大戦の戦時下のサイパン、になっていると、「裕福で平和な現代に生きる日本人」としての後ろめたさや罪悪感がお芝居の印象に被さってきてしまって、素直に舞台に感情移入できなくなってしまうのが個人的にはちょっと辛いところでした。

8月
劇団名(劇場) 演劇集団キャラメルボックス(俳優座劇場)
タイトル 猫と針
大人の味度 ☆☆☆☆
ひとこと いつもと違って、登場人物も5人と少なく、舞台装置もシンプルな大人の味のキャラメルでした。同年代の人たちの話だったので、なんとなく身につまされる部分が多く、一言一言交わされる登場人物たちの近況や心境をうんうん、とうなづきながら聞いてしまう感じでした。キーパーソンとなる役をナチュラルに淡々と演じていた前田さんが良かったです。

9月
劇団名(劇場) 劇団M.O.P(紀伊国屋ホール)
タイトル エンジェル・アイズ
大活劇度 ☆☆☆
ひとこと こちらは登場人物25名の「大・西部劇」といったところ。メインの登場人物たちにはそれぞれドラマや見せ場があるのはさすが。「馬(のおもちゃ)に乗っての登場」も最初笑ってしまったが、最後には引き込まれた。全員の合奏も良かったが、やっぱり登場人物25名は多かったなあ。
初演にキャラメルの西川さんが出演したらしいけど、おそらくあの役なのかな、といろいろ考えてました。

9月
劇団名(劇場) 演劇集団キャラメルボックス(シアターモリエール)
タイトル 橋を渡ったら泣け
大いなる何かに選ばれることなんてないよね度 ☆☆☆☆
ひとこと キャラメルの若手公演。脚本・演出も普段のキャラメルではなく、大地震発生後の残された人々のお話、という非常に考えさせられる題材でした。
嫌味な男をいやみったらしく演じていた小多田さんと、気の強い若妻をかわいらしく演じていた小林さんが印象的でした。

12月
劇団名(劇場) 演劇集団キャラメルボックス(サンシャイン劇場)
タイトル トリツカレ男
エンターテイメント度 ☆☆☆☆
ひとこと ワクワク、どきどきさせてちょっとしんみりさせるような、安心感のあるいつものキャラメル節が炸裂したお芝居でした。いつもとちょっと違う悪役をノリノリで演じていた菅野さんに☆1つ。
クライマックスのはしごのシーンはワイヤーが見えなかったので、最初かなりどきどきしました。

<まとめ>
トータルで18本見ていました。特に2007年前半の勢いっていったらただごとではなく、6月までで13本観てたので途中で「こらあかん」と考え直して後半は少しペースを落としました。

2007年はいつものキャラメルボックス(&キャラメルの役者さんが客演している舞台)だけではなく、いろいろな情報を元に今までに見たことのない劇団もいくつか見に行ってみました。今年もまたお気に入りのお芝居が増えるといいな。

超個人的に色々賞など。
主演男優賞:柳家花緑(上原金造「宝塚BOYZ」)
主演女優賞:前田綾(「猫と針」)
助演男優賞:阿部サダヲ(キンタ「朧の森に棲む鬼」)
助演女優賞:該当なし
音楽賞:何日君再来
舞台装置賞:朧の森に棲む鬼
衣装賞:該当なし