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2008年の感想文

2008年に観たお芝居の一覧です。
独断と偏見でコメントと適当に☆をつけてみました(ちなみに満点は☆5つ)。

1月
劇団名(劇場) サンシャイン劇場
タイトル 遙かなる時空の中で~舞一夜
若い役者さんが頑張ってた度 ☆☆☆☆
ひとこと 原作がゲーム、という異色の舞台。どうやって調理するのかな、と思いましたがとてもきちんとまとまってました。登場人物が多いのですが、それぞれに見せ場があり楽しかったです。衣装や照明も綺麗でした。主人公を演じたはねゆりちゃんが可愛かったです(←おやぢ的感想)演出や殺陣がやや新感線風味だったような。原作には出てこないオリジナルキャラの人たちがいい味出してました。
しかし、ファンサービスというものは客観的に眺めてると気恥ずかしいものですな。

2月
劇団名(劇場) プレタポルテ(俳優座劇場)
タイトル ちいさき神の、つくりし子ら
センター前方に座ると字幕が見にくい度 ☆☆☆☆
ひとこと ろうの女性と健常者の男性のラブストーリー。こういうお話だと「紆余曲折を経て二人が結ばれてめでたしめでたし」というストーリーだったりするのだが、2部構成で1部は二人が結ばれて結婚するまで、2部では二人のその後を丁寧に描いてあった。
二人の世界と価値観の違いがはっきりしていく「結ばれてからのその後」が非常に切なかった。物語のラスト近くの「私にはあなたを変える権利はない」「僕にもない」というセリフ(ややうろ覚え)が非常に印象的でした。
岡田達也さんがほぼ出っ放しのお芝居。非常に熱演でした。あとヒロインのサラを含め数人の役者さんがろう者でしたが、彼らの演技も良かったです。またサラの母親役の長野里美さんが素敵でした。

2月
劇団名(劇場) 劇団四季(CATSシアター)
タイトル CATS
そのお芝居専用の劇場ってすごいよね度 ☆☆☆☆☆
ひとこと もはや説明不要なこのミュージカル、私は初見でした。色々な猫達の人生(猫生?)がミュージカルナンバーと軽快なダンスに載せてつづられていくのだけれども、とにかくそれぞれの猫の個性的な動きに引き込まれました。また、2階席の奥でもとにかく劇場に来た人全員にサービスしよう、という大きな渦の中に巻き込まれていった幸せな時間でした。頭の中を「♪メモリ~」とかがよぎります。

3月
劇団名(劇場) 演劇集団キャラメルボックス(サンシャイン劇場)
タイトル きみがいた時間ぼくのいく時間
スターの煌めき(笑)度 ☆☆☆☆
ひとこと サンシャインに☆(=スター)を観に行きました(笑)。3年ぶりの上川さん出演です。お芝居的には楽しく、久しぶりの上川&坂口コンビも満喫させてもらったんだけど、原作の消化がというか味付けの部分でちょっと?な部分が残りました。具体的には消えた800万円の行方。ワタシ的には「浩二が盗ったのでは?」と思っていたのですが、その後何もなし。あともう一つは物語のキーになる、老秋沢と紘未が会うシーン。なぜ1回目に会ったときには回避できなかった(=その後紘未が事故に遭遇してしまう)のが、2回目ではあっさり解決させてしまうのでしょうか?
いやー、タイムパラドックスものって難しいですねえ。最終的にハッピーエンドになっててもすっきりしないもやもや感が残るというか、なんというか。

4月
劇団名(劇場) PARCO劇場
タイトル MIDSUMMER CAROL ~ガマ王子VSザリガニ魔人~
映画はまだ見に行ってないや度 ☆☆☆
ひとこと 最近お芝居を予約するときにはほぼ役者買いをしているので(ちなみに今回は、戸次重幸さんと春風亭昇太さんと楠見薫さん目当て)、ストーリーは全く予備知識をいれずに行ったのですが思いのほかハートウォーミングなお話でした。むしろサブタイトルからお笑い系の話だと思ってたのですが。
「クリスマスキャロル」のお話を下敷きにした、泣かせどころの多いお話でした。おじいちゃん役の吉田鋼太郎さんが緩急があってうまいなあ、と思いました。あと、昇太さんも盛り上がってるところをメインでぶち壊しに行く場面で大笑いしました。(おそらくあそこのネタは日替わりとかでやってそうだなあ)
ただ、タイトルのガマ王子とザリガニ魔人のシーンはもっと盛り上げられるはずなのに、ちょっと残念でした。

4月
劇団名(劇場) PARCO劇場
タイトル 49日後…
登場人物がよくシャワー浴びてます度 ☆☆☆☆
ひとこと 前回に引き続き、PARCO劇場2連戦(笑)。個性派ぞろいの役者さんたちが出てくるお化け屋敷風味のお芝居でした。内容的には怖いところや謎が残る部分も多くあったけれども、役者さんが(特に八嶋さん)が舞台上で生き生きと遊んでいる様子が面白かったです。個人的には八嶋さんと松重さんの身長差がツボでした。しかし、笑わせているお話で、いきなりお化け屋敷的な演出があるとびっくりしますね。

5月
劇団名(劇場) 虚構の劇団(シアターグリーン)
タイトル グローブジャングル
ちょっくらグローブジャングル探してきます度 ☆☆☆
ひとこと 旗揚げ公演でした。若い役者さんたちが懸命に演じているな、という非常にすがすがしい(ある意味ちょっと直球過ぎてむずがゆい)お芝居でした。ネット上での飛び交う悪意や逃げ出した人々を上手く脚本にしているなあと思いました。終盤の「子供向けでない桃太郎」のお話は夏休みに鴻上さんが「ドラえもん」の脚本・演出をすることと何か関係が?とか邪推してしまいました。観終わった後に何かを話したくなるお芝居でした。

6月
劇団名(劇場) 演劇集団キャラメルボックス(シアターアプル)
タイトル ハックルベリーにさよならを
井の頭池の出口を見てきます度 ☆☆☆
ひとこと ハーフタイムシアターの2本立て。12年前の再演を観たことがあって、そのときとやっぱり感情移入する人物が違ってくるなあ、と時の流れを懐かしく思いました。実川さんの「ケンジ」は絶品でしたが、「アベチカコ」はもっとがんばってほしかったなあ。にしても2本立てで8000円はキツイ…。

6月
劇団名(劇場) 演劇集団キャラメルボックス(シアターアプル)
タイトル 水平線の歩き方
W岡田の安定度 ☆☆☆☆☆
ひとこと W岡田(岡田達也さん&岡田さつきさん)はやっぱりいいなあ、と。安定感があって、落ち着いて見れました。ただ、クライマックスに飲酒運転がでてくるのはどうでしょう…?とか思ってしまいました。まあ、他に殺人とか犯罪を扱ったお芝居はいくらでもあるんだけど、キャラメルのような作風の劇団でこの時期に取り上げるのはううむとか色々考えてしまいました。

7月
劇団名(劇場) あんぽんたん組合(赤坂RED/THEATER)
タイトル なんせんす
近江谷さんが熱い!度 ☆☆☆☆
ひとこと 1970年、という時代で学生運動が盛んだった頃、というと「二十歳の原点」や中島みゆきの「世情」でイメージするしかないのだが、今よりもずっと真面目に「日本のあり方」について若者たちが盛んに議論し、声を上げていた時代のお話。クライマックスでの若者たちの熱い訴えもさることながら、どちらかというとそれを弾圧…阻止するべき「大人」の視点の二人(近江谷さん、大森さん)の方に感情移入してみてしまいました。もちろんこの二人が上手い、ということもあるのだけれども、自分が年を取ったということなのかなあ。にしても、役者さん達の北海道弁が染み入りました。

8月
劇団名(劇場) 紀伊国屋サザンシアター
タイトル 聖流譚~今昔物語異聞
姿勢が良い度 ☆☆☆☆☆
ひとこと 今昔物語に狂言をプラスしてコンパクトにまとめたお芝居でした。演者が全て狂言師の方、というだけあって、立ち姿が美しいな、と思いました。「尼共、山に入りて茸を食いて舞う語」がおもしろかったです。舞い踊ってる様子が、すごく楽しそうでした。上演時間1時間強で、チケット5500円はやや…。

8月
劇団名(劇場) 演劇集団キャラメルボックス(サンシャイン劇場)
タイトル 嵐になるまで待って
セットが再演と同じで良かった度 ☆☆☆☆
ひとこと 再々々演になるのかな?キャラメルには珍しい、かなり悲劇性の強いお話です。私も好きですこの話。実際にろう者の女優さんを客演として迎えた再々演の印象が強く、超えるのは難しいかなとも思ったのですが、キャスティングをほぼ一新して新しい「嵐」を見せてくれました。細見さんが最初から狂気ばりばりの演技で見せてくれました。今回のユーリが私の中では一番ユーリのイメージに近かったかな。

8月
劇団名(劇場) PARCO劇場
タイトル ウーマンインブラック
夏にコート着るのは大変そうだ度 ☆☆☆☆
ひとこと 夏に見る晩秋の英国のホラーです。再々演なので(上川隆也さん目当てとは言え、我ながらよく見に行くなあ…)あらすじはおろか、演出上役者さんが通路を通るタイミングまで覚えている、はずだったのですが、やはり色々怖かったです。に、してもロンドン公演かあ…、勿論行きませんでしたが一瞬行くことを考えてしまった自分にちょっと…。上川さん斎藤さんコンビでまた別の2人芝居にチャレンジしてもらいたいな。

9月
劇団名(劇場) 演劇集団キャラメルボックス(中野momo)
タイトル 僕の好きなペリクリーズ
若い役者さんが暑かった度 ☆☆☆☆
ひとこと キャラメルでシェイクスピア???と思ったのだが、成井さんの脚本化の力は素晴らしく実際には何時間もかかるであろう壮大な話を笑える部分も散りばめながらぱきっと2時間で見せてくれました。大役に挑戦した若い役者さんたちと脇を固めるベテラン勢との対比が面白く、とても「熱い」舞台でした。

10月
劇団名(劇場) LEMON LIVE(下北沢駅前劇場)
タイトル シングルベッド
きださんいい役だったね度 ☆☆☆☆
ひとこと 質屋の娘さんは結婚詐欺師と婚約中。そこへ元彼の刑事さんやご近所さんを巻き込んでの騒動が…というお話。
色々と重たい話を含んでいるのに、後味は悪くなく、見終わった後には爽快感がありました。岡田達也さん(結婚詐欺師役!)のすがすがしいまでの胡散臭さが最高でした。きださんは全身一杯でさわやかに暑苦しい役でした、演じてるきださんを見るのも久しぶりだなあ。シングルベッドはタイトルが先に有りきか?ちょっとタイトルがそぐわない気がしました。

10月
劇団名(劇場) Piper(全労済ホール/スペース・ゼロ)
タイトル ベントラー・ベントラー・ベントラー
開演30分前には席につきましょう度 ☆☆☆☆
ひとこと 難しいことを考えずにただただ笑った2時間。同行の友人が「ドリフの笑いだ」と言ってたけれど、まさにそのとおり。いろいろ散りばめられた伏線が、「そうくるか!」とラスト近くではひたすら爆笑。おもしろかったです。特に途中に「山内圭哉さんタイム」があって面白かったです。「ぴちょん君」最高!

11月
劇団名(劇場) シアターコクーン
タイトル 表裏源内蛙合戦
長崎は今日も雨だった~度 ☆☆☆☆
ひとこと 前知識を入れずに行ったら、上演時間なんと4時間!びびりました。しかし、このチケットは奇跡的に前から2列目(サイドだけど)というすごく良い席で見ることができたので、役者さんたちの表情や細かいおしゃべりなども聞けて楽しかったです。ただ、遊郭のシーンはちょっと目のやり場に困りましたが(ああいう猥雑さも含めて江戸文化というものだとはわかってますが、落語などと比べるとちょっと生々しい)。平賀源内という人物の誕生から死までをやっていたのですが、もう少しポイントを絞って盛り上げればよいのにと思いました。しかし、腑分やラスト間際の狂気のシーンはすごく迫力がありました。表源内の上川隆也さん目当てで行ったのですが、狂言回し的な役を楽しそうにイキイキと演じていた裏源内の勝村さんも魅力的でした。気を抜くと「長崎は~今日も~雨だった~」のリフレインが…。

12月
劇団名(劇場) 演劇集団キャラメルボックス(サンシャイン劇場)
タイトル 君の心臓の鼓動の聞こえる場所
客演ヒロインはそろそろおなかいっぱい度 ☆☆☆☆
ひとこと 客演ヒロインの「いぶき」役の黒川智花ちゃんが「リアルな19才」の若さやわがままさをよく表現してました。正直あれをキャラメルの女優さんにやられたらちょっとキツかったかなあ、と思うので。あとは西川さんのほぼ独り芝居の娘との生活を回想するシーンが良かったです。に、してもキャラメルには良く「成人しても大変に仲の良い兄弟(しかも兄妹)」が出てくるのですが、リアルに兄のいる身には「あんなんちゃうぞ!」とか思ってちょっと醒めてしまうのですがなんとかならんもんでしょうか???

<まとめ>
トータルで18本見ていました。今年は上川さんが「舞台イヤー」だったせいか、彼が出演する舞台をよく見た気がします(2009年春にもありますね)。


超個人的に色々賞など。
主演男優賞:岡田達也(ジェイムズ「ちいさき神の、作りし子ら」)
主演女優賞:該当なし
助演男優賞:勝村政信(裏源内「表裏源内蛙合戦」)
助演女優賞:長野里美(「ちいさき神の、作りし子ら」)
新人賞:佐東広之(ペリクリーズ「僕の好きなペリクリーズ」)